• 歯の詰め物に代用できるペースト

新しく開発された歯科用ペーストを使い、初期虫歯を詰め物をすることなしに治せば、歯科医が使うドリルのあの恐ろしいキーンという音を沈黙させることができるかもしれない。

そのペーストは、日本FAP歯科研究会の山岸一枝歯学博士を含む研究者らによって開発された。報告は雑誌Natureの2/24付けの号に掲載される。

通常、虫歯は、歯のう蝕部分を取り除き、修復材を付加することによって治療する。しかし研究者らによると、この方法では初期の虫歯に対して過剰治療となる。虫歯の初期段階では、う蝕はミクロレベルである。山岸と同僚らによれば、修復材を付着させるために健康な歯のあまりにもたくさんの部分を削らなければならないため、このような場合に詰め物を使うのは道理に適っていない。

放置すると、微小な虫歯内のバクテリアは歯のエナメル質を破壊し、穴をさらに歯の奥深くへと進行させる。

いつかは、う蝕は歯を衰退させ、詰め物が必須となる。その後、詰め物が磨り減れば、根管や歯冠などが必要になる可能性になる。歯そのものを失うことすらある。

今回の新しい歯科用ペーストは、この進行を雪だるま式に進む前に止めることができる。白い結晶性ペーストは、化学的ならびに構造上、歯のエナメル質に類似している。それによって、下方小臼歯の小さな初期病変が治療できたと研究者らは報告している。

(ドリルを使わず)15分で、歯の患部をふさぐことができた。よる詳しい検査によって、そのペーストがしっかりと適合しており歯のエナメル質と結合していることがわかった。

研究者らは、初期虫歯のためのほかの治療法である、フッ化溶液による治療との比較も行っている。フッ化溶液は歯のエナメル質を覆ったが、厚さは不均一であり、歯の治療済みの部分と未治療の部分との境界部にギャップが残った。

研究者によると、このペーストではギャップは残らず、治療したエナメル質の厚さも均一になった。このペーストで初期虫歯を治療し天然エナメルを補強することができ、同じ部位で虫歯が再発するのを防ぐのに役立つとのことである。

このペーストは実用に用いられるだろうが、その場合歯肉と接触してはならない。酸性と高い濃度の過酸化水素によって、歯肉の炎症が引き起こされると研究者らは言っている。同様に悪影響のあり得る素材が、既に患者に対して用いられていることに彼らは言及している。

あなたの歯科医がこのペーストを仕入れるのにはまだ少しかかるであろう。今のところ、切削を防ぐためには、歯磨きをしたりデンタルフロスで磨き、健康的な食事をし、定期的に歯の検診に行くことである。