• 穴の開いた歯を治療するペースト

歯医者へ行くのをもう怖がる必要は無い。日本の科学者らが、虫歯の穴を埋めるペーストを開発した。これで、注射ならびにドリル詰め物による従来の歯科治療に終止符が打たれる。

新しいペーストを開発したチームは、ペーストについて、大きくなる前に穴を素早く埋めることができ、さらに、健康な歯を強化し、う蝕を起きにくくする、と述べている。ペーストには、歯の天然エナメル質の中にあるのと同じ物質である、ハイドロキシアパタイトの結晶が含まれている。歯にある穴に塗布すると、ペースト内の結晶がエナメル質に沿って整列し、15 分以内に継ぎ目のな
い修復ができあがる。

このペーストを開発したFAP歯科研究会の山岸一枝氏によれば、これまで、歯科医らは、早期発見した虫歯を埋めるには、健康な歯を十分なだけ削って取り除き、アマルガム、すなわち合成修復材を接着させるスペースを確保する必要があった。「我々の開発した合成素材は、あらかじめ削ることなくエナメル質を再生できる」と彼[←性別の間違い]は述べている。その研究報告は、本日発売の雑誌Natureに掲載される。

山岸博士によれば、3年以内には、歯科医らにもこのペーストが利用可能になるはずとのことである。このペーストは、歯肉に接触すると酸性であるので炎症が起こることがあるため、訓練を受けた歯科スタッフによって塗布されなければならない。

Fear-Free Dentistry[怖くない歯科](ブライトンにある団体で、歯科治療に不安のある患者を扱う、歯科医らのための研究会を立ち上げている)のAnthony　Asquith氏は、このペーストは、患者が歯医者に行くこと対する不安を克服するのに役に立つかもしれない、と述べている。「あのドリルのうなる音を考えただけで、行くのをやめてしまう人々もいるでしょうから」と彼は言う。

1998年に政府によって実施された、成人の歯科健康調査によると、成人の1/4が歯科医に行くことを怖いと思っているとのことである。「針やドリルによる治療を受けなくてもよいと分かれば、歯医者にかかることへの恐れがずいぶん楽になるでしょう。」とAsquith氏は言う。

ドリルを使わない、針も不要、となれば、歯科医らも恩恵を受ける可能性がある。「不安のある患者を扱うのは歯科医にとって大変なことでしょう。そのような患者を１日に数人も診なければならないとすれば、歯科医らもそれにつられて、イライラしたり、ストレスが溜まったりしてしまいます。これは誰にとっても良いことではありません」とAsquith氏は述べている。